写真編では撮影する対象の見方や画面構成のポイントをコラムとして公開して行く予定です。
写真を撮影される皆様のヒントになれば幸いです。
印象に残る画像には雰囲気がある
写真に限らず、静止画、動画、絵画など、映像は、構成されている物や形、色、配置でさまざまな印象を与えてくれます。
このコラムは、ちょうどバンクーバー・オリンピックのフィギュアスケート競技中でしたので、スケートの例で説明いたします。
フィギュアスケートでは、スケーター(選手)、スケートリンク、会場の建物、観客が主な構成要素となります。 審査員、コーチ、マスコミも会場内にいますが、ここでは単純にするため要素から外すこととします。
主役
フィギュアスケートがテーマなら、主役はスケーターです。均整の取れた体、個性的なコスチューム、優雅な動き、スピード感あるジャンプ、審査を待つ表情などに目線が行くと思います。
脇役
観客、スケートリンク、会場の建物、そしてフレーム
フレームは画像と外の世界を区切る要素です。実際に額はなくても縦x横の比率が2:3、3:4などと区切られます。TVなら画面の外枠になります。
ではフレームの中に要素(主役)を配置して見ましょう。
具体的な画像は表示しませんので想像してみてください。
フレームに主役(スケーター)だけ配置する。
スケータの表情から集中した感じや、やり遂げた達成感を感じられるでしょう。
またコスチュームの色やデザインから感じ取れるイメージもあります。
主役からはその個性を感じられます。
主役に脇役を追加して見ましょう。
ケース1:主役(スケーター)と脇役(会場の建物)
配 置
スケーターが集中した表情で演技しています。
背後に観客席が見えていますが観客はその範囲にいません。
雰囲気
熱心に練習しているよう見え、緊張感と孤独の雰囲気が感じとれます。
ケース2:主役(スケーター)と観客
配 置
スケーターが集中した表情で演技しています
背後に一人一人は判別できませんが大勢の観客がいます。
雰囲気
緊張感の中にも華やいだフィギュアスケートの雰囲気が感じとれます。
主役だけでも十分に絵になるのですが、脇役の加え方で雰囲気を表現することができます。
ケース3:主役(スケーター)と脇役(スケートリンク)の色彩
バンクーバーのスケートリンクの外壁はテーマカラーの白、グリーン、アイスブルーやマリンブルーのデザインパターンです。
配置1
スケーターのコスチュームがグリーンやブルー
雰囲気
スケーターは同じ色調なので目立ちません。
スケーターとリンクの落着いた感じやクールな雰囲気を感じられます。
躍動感やダイナミックな感じは表現できないでしょう。
配置2
スケーターのコスチュームがピンクや赤、黒
雰囲気
スケーターはよく目立ちます。
ピンクのかわいらしさや、赤色の情熱、黒のダイナミックな雰囲気などを感じられます。
落着いた感じやクールな雰囲気な感じは表現できないでしょう。
主役の色調と、脇役の色で異なった雰囲気を表現することができます。
(どちらが良い表現という事ではなく、違いを説明しています。)
掲載画像では
さくらのページに「一枝のさくら」の画像があります。
公開はしていませんが実際に撮影した画像は他に2パターンあります。
・ダークグリーンの杉の葉を背景にした一枝のさくら
雰囲気は蒔絵のようにきりっと存在感のある桜の花になります。
・青空を背景にした一枝のさくら
雰囲気はさわやかでクリアーな感じの桜の花になります。
・そして掲載されている淡いピンク(他の種類の桜の花)を背景にした一枝のさくら
雰囲気は上品でエレガントな感じの桜の花になります。
掲載した画像を選んだ理由は桜の花の気品と柔らかな雰囲気がほしかったので淡いピンクの背景を選びました。
このように同じ主役でも背景(脇役)が変わるとまったく異なった印象となります。
撮影時に脇役を選択した例として説明します。(参考まで)
淡いピンクの背景の画像を中心として右に20cmm移動してダークグリーンの背景に、30cmm下げて仰ぎ見た画像が青空の背景です。
写真は「引き算」「足し算」?
画面を構成する手法で写真入門書やWeb上で解説されています。どちらの方法が優れているという事ではありません。
ご存知ない方は、ぜひ試して見てはいかがでしょうか。
引き算
主役と脇役に関係のない物を除外するフレーミングのことです。
足し算
主役に脇役を加えていくようフレーミングすることです。
私が花を表現するために使う主な手法は、「足し算」です。 主役の雰囲気を強調したり弱めたり、変わったイメージにしたりと、その場にある脇役を写り込ませてイメージを造っていきます。
雰囲気を表現するポイント 《シャッターボタンを押す前に》
・主役の雰囲気を感じる。(大事です!!)
・主役を決める → 主役だけで表現するか決める
・脇役を見つける → 可能な限り主役の周りを見て回ることをお勧めします
・脇役を配置する
・配置した画像から全体の雰囲気を感じる。(とても大事です!!)
・主役と脇役の配置、大きさ、色合いのバランスを調整する → 次回以降のコラムで
第2回は「色彩による雰囲気の表現」を公開予定です。